エレベータに乗ると、必ず目にするのがこの開閉ボタン。エレベータに乗り降りする人のために「開」ボタンを押したり、急いでいるときには「閉」ボタンを連打したりした経験があるかもしれません。
今回は、エレベーターの開閉ボタンについての記事です。
エレベーターの「閉」ボタンは無意味?
見出しの文言に驚いたかもしれませんが、話の舞台は日本ではなくアメリカ。
アメリカのエレベータについている「閉」ボタンの多くは、実は何の働きもしないのだそう。その場合、押してもドアが早く閉まることはありません。
本物かどうか分かりませんが、こんな写真も。「閉」ボタンが文字通り剥がれており、どこにも繋がっていないことが分かります。
理由は米国障害法
なぜアメリカの「閉」ボタンの多くは働かないのでしょうか。
理由は、1990年に定められた米国障害法(Americans with Disabilities Act of 1990 : ADA)にありました。障害を持つことによる差別を禁じており、その一環として雇用機会、交通機関、公共設備などにおいて規定を設け、障害者が社会の一員として差別なく活躍できる社会を目指して制定されました。
エレベータ設備の条件についても触れられており、その中でエレベータドアについて《ドアは完全に3秒以上開いていなければいけない》などと書いてあります。
「閉」ボタンを押すことで、しばしば十分な時間がとれなくなります。
プラシーボ・ボタン
ではさらに話を進めて、なぜ機能しないボタンが撤去されずに残っているのでしょうか。なんでも人間の心理を利用しているそう。実際に機能していなくても、ボタンを操作することで心が休まるそうです。
これは《幻想制御バイアス(Illusion of Control)》と呼ばれています。
コントロールできないはずの事柄を制御できていると思い込み、自身の能力を過大評価してしまう錯覚のこと。
心理学実験では、幻想制御バイアスが以下のように示されています。
《ライト点灯》と《ライト消灯》の2つのボタンが用意されており、被験者に操作させます。実際には裏で別の人物がライトを操作しており、適当につけたり消したりしているのです。それでも実験終了後、被験者は《ボタンでライトを操作していた》という感覚に陥ってしまうのだとか。
機能していないはずのボタンを押させることで、利用者に見せかけの満足感を感じさせることができます。《プラシーボ・ボタン》と呼ばれるこの仕組みは、エレベータ以外でも様々なところで使われているようです(一部のアメリカの横断歩道の歩行者専用ボタンなど)。
(参考:プラシーボ・ボタン)
https://en.wikipedia.org/wiki/Placebo_button
プラシーボ・ボタンアプリを作りました
効果があるのか全く分かりませんが、Androidでプラシーボ・ボタンアプリを作りました。
好きな事柄をタイトルにしてボタンを作成し、無限に押すことができます。
プラシーボ・ボタン
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