リトル・リチャードvs ジェリー・リー・ルイス / 二人の仲、関係、罵り合い

音楽


ロックの最初期をピアニストとして担ったパワフルな二人、リトル・リチャードとジェリー・リー・ルイスについて、様々なエピソードが語られています。強烈なものをいくつかまとめてみました。

1972年・罵倒合戦の謎



まず、こちらの動画をご紹介いたします。


舞台は1972年夏にウェンブリー・スタジアムにて開催された、ロンドン・ロックン・ロール・ショー(The London Rock and Roll Show)。

チャック・べリー、ビル・ヘイリー、ボ・ディドリーなど豪華なメンバーが集まったこのコンサートに、リトル・リチャードとジェリー・リー・ルイスも出演していました。

映像内にはインタビューも収録されているのですが、その中で、このようなやりとりが行われていました。インタビュー部分を抜き出した動画がはじめに紹介したものです。
なんと言っているのか書き出してみます。

(ジェリー・リー・ルイスの演奏終了後、ステージ上の男性が観客に向けて “That was the king!” と叫んだことを受けて)

Little Richard: Jerry Lee Lewis is the king of stupidity(愚かさ), first of all.

Jerry Lee Lewis: I’ve never heard such…crap if he said that. I don’t have anything against Little Richard. But I haven’t seen any hit records by Little Richard record… But I’ve seen a lot of them by Jerry Lee Lewis. Now…Wait a minutes…I should break it now. I haven’t got anything against Little Richard. He’s a good friend of mine.

Little Richard: I don’t even think that Jerry Lee Lewis even have the nerve to put on the shoes that I gave away.


と、罵倒しあっています。リトル・リチャードの最後の発言の意図がよく汲み取れなかったのですが、ジェリー・リー・ルイスが《リトル・リチャードにヒットしたレコードなんてないだろう。ジェリー・リー・ルイスにはあるけどね。》と語るなど、強烈なやりとりになっています。その次に続くビル・ヘイリーの発言がどこか浮いて聞こえてしまうほどです《我々はみんな兄弟みたいなものだよ》。


2008年・第50回グラミー賞にて



時代は移って2008年。2008年のグラミー賞授賞式では、ジョン・フォガティ、ジェリー・リー・ルイス、リトル・リチャードが1つのステージで、メドレー形式で “Coming Down the Road”, “Great Balls of Fire”, “Good Golly Miss Molly”を披露しています。


そのリハーサル時に、いざこざがありました。
なんでも、リトル・リチャードは自分の演奏にあたっては、自身のバンドメンバーを使いたいと主張したそう。しかし、1つのステージで演奏しているため、途中でバンドメンバーを入れ替えることはできないということになってしまいました。ジョン・フォガティのバンドを全員が使うことになったのですが、リトル・リチャードはそれに納得しませんでした。プロデューサーの説得でも不満がおさまることはなかったようです。

場をおさめたのがジェリー・リー・ルイス。笑みを浮かべながらリトル・リチャードの耳に何かをささやくと、リトル・リチャードは大人しくなったようです。
その時、ルイスはなんと《「殺す」と言って脅迫した 》そう。

二人の仲は?

ジェリー・リー・ルイスとリトル・リチャードの関係を知るヒントとなりうる2つの出来事をまとめました。

共に写真に映るのも嫌がると言われたときもあったとのことですが、握手をしたり抱き合っている様子を見ることもできます。例えば、989年に行われたライブ・Legends of Rock ‘n’ Rollにて、ジェリー・リー・ルイスの登場に際してリトル・リチャードがMCをしています。その際にリトル・リチャードは “私の友達”、”世界で最高のピアニストの1人”などとルイスを紹介しています。


また、前にも記載しましたがジェリー・リー・ルイスのアルバム”Last Man Standing”にリトル・リチャードが参加しています。

私としては、憎み合っている、心底嫌っているというよりは互いの個性がぶつかりあってこのような罵り合戦になっている、という印象を受けました。

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